浅草をいろどる日本語模様(もよう)<1> 今日は元日、ボクの誕生日

浅草をいろどる日本語模様<1>
今日は元日、ボクの誕生日

明(あ)けましておめでとうございます。
初日の出の荘厳(そうごん)さに本年の決意(けつい)を込(こ)めた人も多いと思います。
「初日の出」は、「初」プラス「日の出」なので、「はつひので」。
「初日」だけですと、「しょにち」です。

下記(かき)は、以前ネットでも話題(わだい)になった文(*)をアレンジした文章(ぶんしょう)です。
今日は一月一日、元日だ。ボクの誕生日でもある。日本晴れでうれしかったが、もう日が暮れそうだ。明後日までを「三が日」という。日記を書き始めた。明日も書こう。「三日坊主」にならないように。
この短文(たんぶん)には「日」という漢字が11も出てきます。その「日」すべての読み方が違っています。
今日 きょう
一日 ついたち
元日 がんじつ
誕生日 たんじょうび
日本晴れ にほんばれ(とてもいい天気)
日が暮れそう ひがくれそう
明後日 あさって
三が日 さんがにち
日記 にっき
明日 あした
三日坊主 みっかぼうず(始めたことが3日間しか続かないこと)
初級の留学生の悲鳴(ひめい)が聞こえてきそうです。しかし、日本語学習も中級レベルになると、多くの学生が読みこなすようになります。
「日」の漢字などは、学習面(がくしゅうめん)だけでなく、日常(にちじょう)でも使用頻度(しようひんど)が高いからでしょうか。
日本語の漢字には音読(おんよ)み、訓読(くんよ)み、慣用読(かんようよ)みなど、複数(ふくすう)の読み方があるのが特徴(とくちょう)です。
数字もそうです。どの言語の学習でも同じですが、日本語学校でも学習の初期に、数字の読み方を学(まな)びます。
まずは、「1=いち、2=に、3=さん……」。
これは音読みです。
ほぼ同時に訓読みも勉強します。
「1つ=ひとつ、2つ=ふたつ、3つ=みっつ……」。
この訓読みがなかなか覚(おぼ)えられません。
私はその日の授業を始めるに当たって、初級レベルの学習者に、「今日は何日(なんにち)ですか?」とよく聞きます。答えられない学生が結構(けっこう)います。特に月の初めは鬼門(きもん)です。
「ついたち、ふつか、みっか、よっか……」。
月の第一日の「ついたち」は特別です。もともとの「月立ち」(つきたち)が音の変化(へんか)によって「ついたち」になったとされています。
第2日以降は、最初(さいしょ)の1、2文字に注目(ちゅうもく)させます。
2日「ふつか」の「ふ」
3日「みっか」の「み」
4日「よっか」の「よ」
5日「いつか」の「い」
6日「むいか」の「む」
7日「なのか」の「な」
8日「ようか」は、音が変化していて「よ」《←「や」》
9日「ここのか」の「ここ」
10日「とおか」の「とお」
それぞれ、「ふたつ、みっつ、よっつ……」に対応させ、意識(いしき)づけさせます。すると、勘(かん)のいい学生は、「先生、『日』は『か』と読みます」と言ってきます。大正解(だいせいかい)です。

2022年、東京の新年は晴天(せいてん)で明けました。
日本海側は荒(あ)れ模様(もよう)の天気で大雪の年明けでした。空模様(そらもよう)を見て分かる通り、日本も結構広いものです。
「模様」は表面に現出(げんしゅつ)した、あるいは施(ほどこ)された図や形を言いますが、そこから物事(ものごと)のあり様(さま)、様子(ようす)、経過(けいか)を表(あらわ)すことがあります。「人間模様(にんげんもよう)」と言えば、人と人との複雑(ふくざつ)な関係性の様相(ようそう)を連想(れんそう)します。
言語もさまざまな様相を呈(てい)します。浅草にいろどりを添(そ)える、そうした「日本語模様」をつづっていきます。
浅草寺の初詣(はつもうで)にはマスク姿(すがた)の多くの方(かた)が訪(おとす)れました。


デビュー50周年(しゅうねん)を迎(むか)える国民的スターの郷(ごう)ひろみさんも、サプライズで現(あらわ)れ、盛(も)り上がりました。
「日々是好日(ひび〈にちにち〉 これ こうじつ」――今年こそ、一日一日が安穏(あんのん)で良き日でありますように。
