浅草をいろどる日本語模様(もよう)<10>  東京スカイツリーは世界一の634メートル(む・さ・し=武蔵)

言問橋の浅草側から見上げる東京スカイツリー

浅草をいろどる日本語模様<10>

東京スカイツリーは世界一の634メートル(む・さ・し=武蔵)

浅草の街(まち)から見上げる東京スカイツリーは実に優雅(ゆうが)で、美しく、堂々(どうどう)としています。

夜はライトアップされ、幻想的(げんそうてき)な光を放(はな)ちます。

この世界一の自立式(じりつしき)電波塔(でんぱとう)は、2012年2月29日に竣工(しゅんこう)し、その年の5月22日から開業(かいぎょう)しました。今年は完成、そして開業から10周年(しゅうねん)です。

スカイツリーの構造(こうぞう)を表現(ひょうげん)する時、「そり」(反り)と「むくり」(起り)という言葉が使われることがあります。

スカイツリーのデザイン監修(かんしゅう)を務(つと)めた彫刻家(ちょうこくか)の澄川喜一(すみかわ・きいち)氏は、自身(じしん)のホームページで語(かた)っています。

「反り」(そり)とは、しなやかな湾曲の(わんきょく)こと。

「起り」(むくり)とは、ゆるやかなふくらみのこと。

スカイツリーは、一直線のデザインではありません!!

「反(そ)り」と「起(むく)り」があるのです。

澄川喜一ホームページ https://sumikawa-art.com/tokyoskytree.html

『東京スカイツリー®物語(ものがたり)』を著(あらわ)した松瀬学(まつせ・まなぶ)氏は次のように述(の)べ、澄川氏へのインタビューを紹介(しょうかい)しています。

そりとは、日本の伝統美(でんとうび)である。抑制(よくせい)された美しさである。日本刀(にほんとう)の刃(は)を下にした形が「そり」、刃を上にした時の中央の緩(ゆる)やかにふくらんだ形が「むくり」。澄川はとくに「そり」を自身の創作(そうさく)テーマにおいている。

「東京スカイツリーは土台(どだい)が三角形でスタートし、高さが東京タワーの倍近くになる。下の足場(あしば)は狭(せま)い。日本刀(にほんとう)を3本、柱(はしら)として立てたようなイメージなんです」

松瀬学『東京スカイツリー®物語』(KKベストセラーズ)

自立電波塔としては世界一で、634メートルの高さを誇(ほこ)っています。1958年にできた東京タワーは333メートル。スカイツリーは東京タワーの約2倍の高さがあります。ちょうど2倍だと、666メートルになるわけですが、実際(じっさい)は634メートル。この数字には理由があります。

それは、東京地方の昔(むかし)の呼び方「武蔵(むさし)」の語呂合(ごろあ)わせから来ているのです。語呂合は、似(に)ている音を使って言葉を覚(おぼ)えやすくすることができます。

6は「むっつ」と読む時があります。

3は「さん」。

4は「し」とも読みます。

それぞれの最初の文字をつなげると、「む・さ・し」になります。

日本語にはいろいろな語呂合わせがあります。

「〇〇の日」にも語呂合わせが多用されています。

例(たと)えば、1月5日は、「いち・ご」で「イチゴの日」。

3月3日は、「みっつ」の「み」と「み」で「耳の日」。

では、8月7日は何の日でしょうか? 「鼻の日」です。はちの「は」、ななの「な」です。

2月2日は「夫婦(ふうふ)の日」です。「ふたつ」の「ふ」からの連想(れんそう)です。

そして、4月22日は「よい夫婦の日」、11月22日は「いい夫婦の日」、11月23日は「いい夫妻(ふさい)の日」だそうです。

まだほかにもいっぱいありそうです。カレンダーを見ながら、自分だけの新しい記念日を考えてみてませんか。