鉾田(ほこた)をいろどる日本語模様<1> 見晴らしの丘から望む初日の出

浅草国際学院茨城校がある茨城県鉾田市ゆかりの名所、歴史、人物などを紹介しつつ、日本語の魅力(みりょく)や特色を、「鉾田をいろどる日本語模様」と題して、写真とともに述べていきます。

見晴らしの丘から望む初日の出

2023年、明けましておめでとうございます。

鹿島灘海浜公園の見晴らしの丘から初日の出を望みました。新年の幕開けにふさわしく、ご来光(らいこう)の輝きで水平線を照らしながら昇っていきました。

明けまして――「明けた」のは 古い年? 新しい年?

さて、「明けまして」の「明けた」のは何かと言えば、それは「年」です。では、「旧年」でしょうか。「新年」でしょうか。

答えは両方です。

単に「年が明けた。」と言えば、古い年が終わって、新しい年になったという変化の状態を表します。

「新年が明けた。」と言えば、変化の結果として新しい年になったという意味です。

「夜が明けた。」も「朝が明けた。」も、どちらも正しい日本語であることと同じです。

「あける」には、「明ける」「開ける」「空ける」の漢字があります。

「明ける」は、一定の期間、状態の終わりから次の展開を言い表します。

「夜が明けた。」「年が明けた。」「梅雨が明けた。」

明るい未来へ飛び立つようなイメージがあります。最近では、「緊急事態宣明けの……」という表現も見かけました。

鹿島灘海浜公園の見晴らしの丘には初日の出を見に来た多くの老若男女の姿が(2023年1月1日)

「開ける」は、何か間にあるものを取り除く様子を言います。また、くっついている状態を引き離す意味もあります。

「窓を開ける。」「ドアを開ける。」「口を開ける。」「目を開ける。」

本来、そのほうが望ましい状態になるニュアンスが感じられます。

「口を開ける。」「目を開ける。」には物理的な意味のほかに、「話し始める」「はっきりと認識する」というときにも使います。

「空ける」は、そこにあったものを取り除き、何も無い状態、からの状態にすることです。

「席を空ける。」「ジョッキを空ける。」「一行空けて書いてください。」

すっきりした気持ちになることが想像されます。

「明ける」「開ける」「空ける」に共通するのは、「さあ、これからだ!」「次は何だ!」といった前向きな姿勢ではないでしょうか。

跳躍の足跡を刻む うさぎ年に

鉾田市内の鉾神社(ほこじんじゃ)に、本年を良い年にと願う人々が初詣(はつもうで)の参拝に訪れていました。

鉾神社は、大己貴命(おおなむちのみこと)、武甕槌命(たけみかづちのかみ)、日本武尊命(やまとたけるのみこと)の三神が奉(まつ)られています。

今年は「卯年」(うどし)、うさぎ年です。

大己貴命は大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名ともされ、神話によると、白うさぎを助けたことで有名です。その白うさぎがお礼にと縁(えん)を取り持って、大国主神は意中の神と結婚します。今に語り継がれている「日本最古の恋」の物語です。

鉾神社の手水(てみず/ちょうず)舎の天井

雪原を 跳(と)び跳ぶ兎(うさぎ) 一未来

(中島斌雄)

中島斌雄(たけお)という俳人に上記の一句があります。

自(みずか)らの跳躍(ちょうやく)の足跡を刻(きざ)みながら、一直線にひたむきに、真っ白な未来へ、うさぎが駆(か)けていく。

若き学生たちの奮闘(ふんとう)に重なります。

そんな未来の人財がどこまでも高く飛翔することを願って、陽光のごときエールを送り続ける一年が、晴れやかに明けました。

天高く伸びゆく連凧(鹿島灘海浜公園)