鉾田(ほこた)をいろどる日本語模様<3> 平和の願い込めたイルミネーション

平和の願い込めたイルミネーション

鉾田市商工会館のイルミネーションが冬の澄み切った夜に、赤や青、白、緑、黄、ピンクの色鮮やかな輝きを放(はな)っています。

毎年恒例のこの催(もよお)し、今回のテーマは「平和」。電飾(でんしょく)のトンネルをくぐりながら、2023年が平和な年でありますようにと、祈るばかりです。

2021年には東京で夏季オリンピックが、2022年には北京で冬季オリンピックが開催されました。

「オリンピックは平和の祭典です。」

「今回のオリンピックは平和な祭典でした。」

上記の「平和の祭典」と「平和な祭典」では微妙(びみょう)な意味の違いがあります。

平和「の」と言うときは、平和のための祭典、すなわち平和を追求する、平和をモットーとする、といった意味があります。

平和「な」と言ったときは、平和という状態を表します。つまり、何事も問題が起きず、安全で争いごともなかったという意味です。

「日本は平和の国です。」は、「平和」を理想、国是(こくぜ)、モットーとする国ということです。

「日本は平和な国です。」は、平和という状態にある国ということです。

日本国憲法の3つの原則は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」です。よって、「平和憲法」とも言われています。

ちなみに、2022年のFIFAワールドカップでサッカー日本代表が惜しくも敗れ去った対戦国のコスタリカも、平和憲法を掲(かか)げている国です。憲法第12条に「恒常的制度としての軍隊を禁止する。」と明記しているのです(imidas「時事用語事典」)。

平和憲法を「平和の憲法」と言うことはできると思います。平和を追求している憲法という意味です。

しかし、「平和な憲法」とは言いにくいのではないでしょうか。憲法が平和である状態とは、例えば何の憲法論争も起きないようなことを意味するとすれば、それはあり得ないからです。

「ほこ」を止めるか、担(かつ)いで進むのか

鉾田市の「鉾」を「ほこ」だと、すぐ読める人はなかなかいないようです。「ほこ」には他に矛、鋒、戈、鋒、戟などの漢字があります。

すべて武器を表します。この「武」という漢字はとても不思議な字です。

「武」は「戈(ほこ)」と「止」を組み合わせてできた漢字であると言われています。

とすれば、「ほこを止める」という意味になり、戦いを止めることになります。まさに、「平和」です。

ところが、その一方で、「止」の字形は足の形であり、「とめる」「とまる」以外に、逆の意味である「進む」という意味もあるようです。そうなると、武器を持って進む、すなわち戦争です。

「武」は果たして、ほこを担(かつ)ぐのを止めてとどまっている姿なのか、ほこを担いで歩いている姿なのか――。

イルミネーションは2月28日まで(午後5時~午後11時)