鉾田(ほこた)をいろどる日本語模様<9> 陸軍飛行学校顕彰碑

陸軍飛行学校顕彰碑

78年前の3月10日、東京・浅草をはじめとする下町が、米軍による大空襲によって焼け野原となりました。10万人もの犠牲者が出たと言われています。

終戦間際の8月2日には水戸空襲がありました。

戦争の記憶の風化が危惧(きぐ)されて久しい令和の時代です。そんな今だからこそ、鉾田市内にある戦跡を訪れてみました。

鉾田市台濁沢(だいにごりさわ)に、鉾田陸軍飛行学校顕彰碑があります。

かつてここに、陸軍の飛行学校があったことを今に伝える記念碑です。

現在の国道51号線に沿うような形で広大な飛行場、滑走路があったそうです。

2021年10月「広報ほこた」の「鉾田歴史物語」vol.1には次のような記載があります。

約1200ha(東京ドーム255個分)に及ぶ面積を持ち、1200m×60mのコンクリート製の滑走路が1本有りました。

戦況が激化してきた1944年10月22日には日本で最初の陸軍特別攻撃隊(特攻隊)として岩本益臣大尉以下16名が第1陣として出撃していきました。

2021年10月「広報ほこた」の「鉾田歴史物語vol.1 鉾田にあった飛行場の秘密に迫る」

「特攻隊員戦歿者」「特攻隊機付軍人軍属戦歿者」「訓練空輸殉職者」の氏名が残されている石碑もあります。最初の特攻隊と言われる「万朶(ばんだ)隊」の名称も確かにあります。

平和への祈りを込めて

顕彰碑の裏の「建立の記」には「鎮魂(ちんこん)と世界平和の祈りをこめて」と刻まれています。

「祈り」を込(こ)めて、「願い」を込めて、「心」を込めて、「愛」を込めてと言うように、「込める」には感情を強く、深く入れる意味があります。

力を「入れて」と言うより、力を「込めて」と言ったほうが、気持ちが入っている感じがします。このように「力」の場合は、「入れる」「込める」の両方とも使えますが、祈りを「入れる」とは言いません。

3月11日は東日本大震災の発生した日です。ここ数年の新型コロナウィルスの感染拡大も、私たちに試練を課してきました。戦禍、災禍、疫禍のない世界をと願うばかりです。

特攻隊が鉾田から飛び立ったという歴史の重みを改めて感じながら、平和への祈りに一段と思いを込めて顕彰碑を後にしました。